帯状疱疹が単なる皮膚病にとどまらず、高齢者のQOL(生活の質)を著しく破壊する恐ろしい病気とされる最大の理由は、激しい後遺症である帯状疱疹後神経痛(PHN: Postherpetic Neuralgia)の存在です。
皮膚の発疹やかさぶたが完全に消退した後も、3ヶ月以上にわたって耐え難い刺痛、電撃痛、衣服が擦れるだけで激痛が走るアロディニア(異痛症)が残存します。帯状疱疹後神経痛 治らない 理由は、ウイルスの爆発的な増殖によって感覚神経そのものが不可逆的な炎症・変性を起こし、神経線維が傷跡(瘢痕化)を残して損傷してしまうことにあります。一度破壊された中枢および末梢の痛覚伝達回路は修復が難しく、痛みのシグナルが脳へ誤送信され続ける慢性痛状態に陥るのです。
この不可逆的な神経障害を防ぐ唯一にして最大の鉄則が、帯状疱疹 皮膚科 受診の目安として知られる「発症後72時間の壁」です。
抗ウイルス薬(アメナメビルやバラシクロビルなど)は、ウイルスが増殖している初期段階に投与することで真価を発揮します。皮疹の出現から72時間以内に内服を開始できれば、ウイルスの増殖を最小限に食い止め、神経の破壊を防いでPHNへの移行確率を劇的に下げることができます。
以下のような徴候が見られた場合は、様子見をすることなく即座に皮膚科または総合診療科を受診してください。
- 身体の片側にピリピリとした神経痛があり、赤いブツブツが出始めたとき
- 目の周囲や額、鼻先に発疹が出た場合:三叉神経第1枝の障害により、角膜炎や失明に至る危険性があります。
- 耳の周囲の発疹、顔のゆがみ、めまい、耳鳴りがある場合:顔面神経麻痺を伴う「ラムゼイ・ハント症候群」の疑いがあり、緊急の治療が必要です。
- 陰部や臀部に発疹があり排尿が困難な場合:膀胱直腸障害を引き起こす恐れがあります。