美しい顔、安定感のある自然な顔立ちには、古典絵画の時代から受け継がれてきた明確な「顔の黄金比率のバランス」が存在します。イラスト・マンガ描き方ナビの技術解説でも言及されている通り、顔が不安定に見える原因のほとんどはパーツそのものの形状ではなく、「目と鼻の配置比率」のズレに起因しています。
プロの現場で共通言語となっている基本比率は、頭頂から顎先までの垂直軸を基準に設計されます。まず、「頭頂から顎先までのちょうど中間地点に目のラインが位置する」という事実は、多くの初心者が驚く解剖学の基本です。初心者は頭頂部の髪のボリュームを過小評価し、目を本来の位置よりも極端に上へ描いてしまうミスを頻繁に犯します。これにより、額が極端に狭く顎が肥大化した不自然な顔立ちが生まれてしまいます。
さらに、水平方向のバランスにおける基本単位は「目の横幅」です。両目の間には「ちょうど目1個分の間隔」が空くのが自然な人間の構造です。wikiHowの人物デッサン解説でも詳細に記述されているように、目の内側の端(目頭)はわずかに下向きに傾き、外側の端(目尻)は骨格に応じて上向きまたは下向きへ流れます。下まぶたのラインを横向きの非常に緩やかなS字形として捉えることで、平面的な記号ではなく、眼球という球体を覆う皮膚としての立体感が生まれます。
リアルな人の顔のデッサンを目指す場合でも、アニメ調のキャラクターを描く場合でも、この配置基準を「基準点(ニュートラル)」として把握しておく必要があります。デフォルメとは比率を無視することではなく、黄金比率をどの方向に意図して伸縮させるかという「計算された誇張」に他なりません。