彼女の名が世界中に響き渡る決定的な瞬間となったのが、1964年東京オリンピックだ。跳馬、個人総合、平均台の3種目で金メダルを獲得。しなやかさと力強さを兼ね備えた彼女のスタイルは、体操競技の概念そのものを塗り替えたといっても大げさではない。
日本中の人々がその美しさに熱狂した。「東京の恋人」の愛称で親しまれたベラ・チャスラフスカは、滞在中に日本の文化や人々が示す誠実さに深く感銘を受けたという。帰国時には自らの刀を日本体操界の重鎮に贈るなど、交流は一過性のものには終わらなかった。このとき育まれた日本との深い絆は、後に彼女が直面する厳しい冬の時代にも、心の支えであり続けることとなる。