桜木町から目と鼻の先にある野毛エリアは、戦後の復興期からエンターテインメントと食文化が花開いた場所だ。かつてこの街のステージに立ち、昭和の歌謡界を照らした「美空ひばり」も、野毛の賑わいと温かい料理を愛した一人として知られている。情緒あふれる野毛小路を歩けば、どこか映画『コクリコ坂から』に登場するような、どこか懐かしく切ない港町のノスタルジーが肌に伝わってくる。
西洋の調理法を取り入れながら、白米や醤油に合うように独自の進化を遂げた「日本式洋食」。カツレツ、コロッケ、オムライス、ナポリタンといったメニューは、まさに横浜の職人たちが試行錯誤の末に生み出した食の芸術だ。異国情緒と下町人情が交差するこの空間で味わうからこそ、その一口は特別な意味を持つ。