近年公開された様々なドキュメンタリー作品の中には、完璧に見える王者の裏側に潜む苦悩と人間味が克明に刻まれている。北京オリンピックで前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑んだ際、足首の負傷と重圧に耐えながら氷上に立った姿は今なお記憶に新しい。
カメラが捉えたのは、絶対王者としての顔だけではない。傷つき、悩み、それでも自らの美学を貫こうとする一人の人間の姿だ。こうした良質なドキュメンタリーの存在は、バッシングの対象として消費されがちだった彼を、血の通った一人の挑戦者として世の中に再定義する大きな役割を果たしている。