覚醒した患者に対して最初に行われるのが「言語野マッピング」だ。運動性言語中枢である「ブローカ野」をはじめ、言葉の発話、理解、名前の呼称などを担当する微細な神経ネットワークを特定していく。電気刺激電極を用いて脳の表面を極小の電流で刺激しながら、患者に写真の名前を言わせたり、早口言葉を唱えさせたりする。
もし電気刺激を与えた瞬間に、スムーズに喋っていた早口言葉が突然詰まったり、言葉が出なくなったりした場合、その部位は言語機能にとって不可欠な領域だと即座に判明する。最新の画像診断技術が進化を遂げた現在でも、人間の脳の個体差や神経ネットワークの細かな配置は、リアルタイムの発声反応でしか確定できない。まさにミリ単位の精度で脳の領域を可視化する最新医療の真骨頂と言える。