東京都墨田区。かつて江戸の庶民文化が花開いたこの街は、今や最新のトレンドと伝統が共存する独特の熱量を持っている。日本の温浴産業が多様化を見せる中、施設を運営する株式会社江戸遊は、従来のスーパー銭湯の概念を大胆に覆してみせた。
館内に一歩足を踏み入れると、まず目を奪われるのがモダンでありながら和の情緒を漂わせるインテリアだ。大浴場の壁面には、葛飾北斎の傑作として名高い浮世絵『富嶽三十六景』をモチーフにした繊細なアートが施されている。湯船に身をゆだねながらアートを眺める時間は、まさに粋な江戸っ子気分そのものだ。日常の雑多な思考がすーっと消えていく感覚を覚える。