加藤一二三九段の勝負への凄まじい執念は、数々の個性的な伝説エピソードを生み出しました。どれも笑い話として語られることが多いものの、本人は常に真剣勝負の極限状態で勝利を追求していたからこその行動でした。
将棋ファンのみならず一般にも広く知られる代表的な武勇伝を紹介します。
- 対局中のバナナ・板チョコ爆食い:脳のエネルギー消費を補うため、対局中に山盛りのバナナや数十枚の板チョコレートを平らげ、記録係を驚嘆させました。昼食と夕食に全く同じ「うな重」を注文し続けるルーティンも有名です。
- 「滝の音を止めてくれ」事件:対局場の庭にある名物の滝の音が気になり、思考に集中するために「あの滝の水を止めてもらえないか」と旅館に真顔で要望しました。
- クーラーの風向きを巡る心理戦:寒がりの加藤九段と暑がりの米長邦雄永世棋聖との対局で、クーラーのスイッチを巡って双方が点けたり消したりを繰り返す盤外の攻防が繰り広げられました。
- 長すぎるネクタイと「ひふみんアイ」:対局中にネクタイが床につくほど長くなってしまう独特の着こなしや、相手の背後に回り込んで相手の視点から盤面を観察する「ひふみんアイ」など、奇抜に見える行動もすべて最善手を追求する情熱から生まれたものでした。