特定の地域言葉を聞いた瞬間、なぜ男性の心拍数は上がり、強い愛着を抱いてしまうのか。この心理作用に対して、社会言語学や文化庁の言葉に関する意識調査の知見からは興味深い構造が見えてくる。
方言学の観点からも指摘される通り、人は聞き慣れない方言に触れた際、無意識のうちに相手との物理的・心理的距離が一気に縮まったような錯覚を覚えるという。標準語が公式でよそ行きな「鎧」だとすれば、方言はプライベートな空間でのみ開示される「素顔」の象徴だ。相手が自分だけに打ち明けてくれたかのような錯覚、すなわち心理的境界の解除が、胸の高鳴り=「キュン」の真の正体なのだ。