日本の若者たちが本書を手に取るきっかけとなったのは、TikTokやX(旧Twitter)での短い動画だった。あるインフルエンサーが投稿した「もし感覚をすべて失い、考えることしかできなくなったら?」という問いかけが、瞬く間に拡散された。
メタバースやバーチャルリアリティが日常化した現代だからこそ、「肉体を失うこと」への恐怖はより皮膚感覚に近いものとなっている。バーチャルな世界でどれだけ自由に動けても、現実の肉体が損なわれれば、残されるのは絶対的な孤独だけだ。若者たちは、ジョーがモールス信号で「SOS」を送り続ける場面に、現代社会の「つながっているのに孤独」な自己を投影している。