リリースから現在に至るまで、ファンの間で議論が絶えないのが『10年桜』MVに隠された都市伝説です。その中心にあるのが、広く知られる「前田敦子死亡説」と「バス事故説」の2つの解釈です。
MV内では、2009年の卒業式風景と、10年後となる2019年に大人になったメンバーたちが再会する場面が交錯します。しかし、2019年の世界において、大島優子や板野友美らが大人の女性として描かれる一方、前田敦子だけは当時の制服姿のままバスに乗り続け、メンバーからの手紙を静かに読んでいます。さらに、ラストシーンで雪道に佇む前田の姿を大島だけが振り返って認識するなど、幽霊を想起させる描写が複数散りばめられていました。
ここから「前田敦子は卒業直後に事故で亡くなっており、10年後の再会に魂だけが現れた」という説や、「バスに乗っていたメンバー全員が事故に遭い、生き残った前田だけが記憶の中の仲間を見ている」という逆の解釈まで、無数の考察が生まれました。
後の関係者インタビューや是枝監督の演出論を紐解くと、この描写はホラー的な死を意味するのではなく、「過去(学生時代)にとどまり続ける記憶の象徴」として前田敦子を配置したことがわかります。誰しもが経験する「二度と戻れない青春への訣別」を、不可逆な時間の流れとして詩的に可視化した演出こそが、この都市伝説の正体です。