海外のショッキングな映像を見て「日本は関係ない」と考えるのは早計です。警察庁および厚生労働省の最新データによると、日本国内では覚醒剤事犯の検挙数が高止まりする一方、10代から20代の若年層による市販薬のオーバードーズ(OD)の危険性が急速に社会問題化しています。
新宿・歌舞伎町の「トー横」周辺やSNS上では、咳止め薬や鎮痛薬を一度に何十錠も流し込む様子や、泥酔以上に足元がおぼつかなくなった姿を自らライブ配信する動画が散見されます。当事者たちの間では「現実逃避」「心の痛みを消す自傷行為」として行われていますが、成分に含まれるエフェドリンやコデインは強い依存性を持ち、過剰摂取は呼吸抑制や急性多臓器不全を引き起こします。
こうした状況を受け、自治体や警察関係機関による薬物乱用防止の啓発動画も制作されています。しかし、啓発の手法には大きな課題も存在します。単に「恐ろしい廃人の姿」を見せて脅すだけの恐怖訴求は、すでに孤立やトラウマを抱えている当事者をかえって絶望させ、相談窓口から遠ざけてしまうリスクが指摘されています。啓発動画には、恐怖の提示だけでなく「孤立を防ぎ、具体的な医療支援へと繋げる導線」が強く求められています。