脳のほぼ中心に位置する「視床」は、視覚、聴覚、触覚、温痛覚など、嗅覚を除く全身のあらゆる感覚情報を大脳皮質へ中継する「総合中継ステーション」の役割を果たしています。この極めて重要な領域で血管が破綻する視床出血 原因 高血圧が全体の約7割から8割を占めており、長年の高血圧によって脆くなった脳深部の細小動脈(視床穿通動脈など)が圧力に耐えかねて破綻することで発症します。
発症は極めて突発的です。代表的な左視床出血 初期症状としては、以下のような兆候が急激に出現します。
- 突然の片側(右側)のしびれや脱力感:箸を落とす、足がもつれるといった運動麻痺に先行して、右半身の感覚が鈍くなる。
- 激しい頭痛と嘔気・嘔吐:頭蓋内圧の上昇に伴い、後頭部から側頭部にかけて締め付けられるような痛みに襲われる。
- 眼球運動の異常(共同偏視):病変側と反対側の斜め下(鼻先)を見つめるような特有の眼球偏位が観察される。
- 意識レベルの低下:出血量が中等度以上になると、呼びかけに対する反応が鈍くなり、昏睡に陥るリスクがある。
左大脳半球にある視床が損傷を受けると、神経線維が延髄で交差(錐体交差・感覚神経の交叉)している解剖学的理由から、病変と反対側である右半身全体に感覚障害や運動麻痺が直撃します。さらに、左脳は多くの右利きの人(および大半の左利きの人)において言語を司る「優位半球」であるため、感覚や運動の問題にとどまらず、コミュニケーション機能に深刻な影を落とすことになります。