すべての始まりは、ニューヨークのコロニー劇場だった。ウォルト・ディズニーが手掛けた世界初のフル同期音響アニメーション『蒸気船ウィリー』が公開されたこの日こそが、公式な誕生日のルーツだ。当時は無声映画から発声映画(トーキー)への移行期であり、映像と完璧に調和した音楽や効果音、そして生き生きと動くキャラクターの姿は、当時の観客に雷が落ちたような衝撃を与えた。
それ以前にもミッキーが登場する短編作品『プレーン・クレイジー』などが制作されていたが、配給や音響の壁を乗り越え、世界的な現象となったのは『蒸気船ウィリー』である。ウォルト自身の声で命を吹き込まれたミッキーは、世界大恐慌の足音が忍び寄る時代において、人々に圧倒的な希望と笑顔を届けたのだった。