『ONE PIECE』という物語に通底する最大のテーマは「受け継がれる意志」です。主人公モンキー・D・ルフィが海賊王ゴール・D・ロジャーの自由を愛する意志を無意識に継承しているのに対し、その鏡写しの対極として描かれる黒ひげは、ロックスの破壊的で支配的な意志を継ぐ者として配置されている構図が明確です。
マリンフォード頂上戦争において、瀕死の白ひげ(エドワード・ニューゲート)はティーチに対し、「ロジャーがお前を待つはずがねェ……」「ロジャーの意志を継ぐ者達がいる様に、いずれエースの意志を継ぐ者も現れる……」と言い放ち、続けてこう告げました。
「お前じゃねェ…」
このセリフは極めて象徴的です。白ひげはかつてロックス海賊団の船員としてロックスの狂気と野望を間近で見ており、その後ロジャーとも拳を交えてその器を熟知していました。白ひげはティーチの根底にあるドス黒いエゴイズムを見た瞬間、彼がロジャーの意志を継ぐ男ではなく、かつて自らが所属したロックスの亡霊を追う男であると見抜いたのではないでしょうか。