公職選挙法第129条は、「選挙運動は、選挙の期日の公示又は告示のあつた日に、前条の届出(立候補届出)のあつた後でなければ、することができない」と定めています。これに違反する行為が「事前運動」です。
事前運動の禁止に抵触した場合、公職選挙法第239条により1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金が科されるリスクがあり、有罪が確定すると公民権停止措置が取られ、当選無効や将来の立候補資格喪失につながります。
実務上、どこまでが合法な「政治活動」で、どこからが違法な「事前運動」になるのかという境界線は、以下の3要件(選挙運動の定義)が客観的に成立するかどうかで総合判断されます。
- 特定の選挙:「今度の日曜日に行われる市議選において」
- 特定の候補者:「私、〇〇太郎に」
- 投票獲得の意図:「清き1票をお願いします/投票してください」
告示前に街頭で見かける「本人」と書かれたタスキや政策ビラ配りは、名目上「日常的な政党活動・政治活動」として行われており、特定の選挙での投票を直接依頼する文言を巧妙に排除することで法規制をクリアしています。しかし、選挙管理委員会や警察当局の監視は年々厳格化しており、実質的な投票依頼とみなされれば即座に警告・検挙の対象となります。