実写ドラマの躍進と軌を一にして、スクリーン発のカルチャーも歴史的な転換点を迎えている。その先頭を走るのが、新海誠監督の手がけた『すずめの戸締まり』だ。美しい映像美と緻密な心理描写、そして日本固有の神話的世界観を巧みに融合させた本作は、アジアのみならず欧米の劇場をも満席にし、日本アニメーションの持つ底力を世界に誇示した。
この世界的大ヒットを牽引した東宝株式会社の戦略も見逃せない。従来の国内興行依存から脱却し、最初からグローバル配給網を視野に入れたマーケティングを展開したことで、アニメ映画は「一部のマニア向けカルチャー」から「全世界が封切りを待望するメジャー映画」へと完全に昇格した。緻密なプロモーションと普遍的な人間ドラマの融合が、世界市場の興行記録を次々と塗り替えている。