脳動脈瘤はなぜ多発する?ウィリス動脈輪の解剖と破格リスクを徹底解説

脳動脈瘤はなぜ多発する?ウィリス動脈輪の解剖と破格リスクを徹底解説

脳動脈瘤はなぜ多発する?ウィリス動脈輪の解剖と破格リスクを徹底解説について知っておくべき 理由を厳選して解説いたします。

医学の教科書には美しい正多角形のウィリス動脈輪が描かれていますが、実際の生体において左右対称の「完全なリング構造」を備えている人は全体のわずか30〜40%程度にすぎません。残りの約6割の人には、血管の低形成(極端に細い)、無形成(欠損)、あるいは走行異常といった解剖学的バリエーションである「破格(Anatomical Variation)」が存在します。

臨床現場の脳血管撮影(MRAやDSA)で頻繁に遭遇する破格の代表例には次のようなものがあります。

  • 胎児型後大脳動脈(Fetal-type PCA):通常は脳底動脈から血流を受ける後大脳動脈が、後交通動脈の発達により内頸動脈から直接血流を受ける形態(出現率:約15〜30%)。
  • 後交通動脈の低形成・欠損:片側または両側の後交通動脈が糸のように細いか、完全に欠如している状態(出現率:約30〜40%)。
  • 前大脳動脈(A1)の低形成・欠損:片側のA1セグメントが極めて細く、前交通動脈を介して反対側の内頸動脈から両側の前大脳動脈を栄養している状態(出現率:約5〜10%)。

日常の安定した状態であれば、破格があっても脳血流は自動調節能により保たれるため、自覚症状は一切ありません。しかし、主幹動脈が血栓で詰まる脳動脈閉塞・脳梗塞の発症時には、この破格の有無が生死や後遺症の程度を決定づけます。

例えば、内頸動脈が完全閉塞した際、後交通動脈や前交通動脈が正常に発達していれば側副血行路が即座に起動し、広範な梗塞を免れることができます。ところが、後交通動脈が欠損している破格の患者ではバックアップ血流が得られず、広範な脳虚血から重篤な片麻痺(運動麻痺)、感覚障害、失語症(優位半球の場合)、半盲などの視野障害が一気に完成してしまいます。

佐藤 大輔
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佐藤 大輔

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