作品の屋台骨を支える主演陣には、日本映画界の至宝とも呼ぶべき実力派が名を連ねた。主人公の葛藤に満ちた半生を演じきるにあたり、徹底した役作りで知られる主演俳優は数ヶ月に及ぶ減量と方言の習得を敢行。その執念が生み出した佇まいは、一瞬の表情の変化だけで観客の感情を揺さぶるほどの緊張感を漂わせている。
相手役を務める実力派女優との掛け合いも見逃せない。静謐な空気感のなかで交わされる言葉のやり取りは、まるで本物の日常を盗み見ているかのようなリアルさだ。二人が見せる計算し尽くされた沈黙の間や微妙な視線の交錯は、スクリーンという枠組みを超えて観客の心に強く突き刺さる。