ドラゴンクエストの戦闘を語る上で欠かせないのが、堀井雄二氏のゲームデザイン、鳥山明氏のキャラクターデザイン、そしてすぎやまこういち氏の音楽という黄金トリオの存在だ。モンスターが提示された瞬間のシルエットの力強さ、呪文を唱えたときのアニメーション、そしてバトル開始時に鳴り響くイントロの躍動感。これらが一体となることで、プレイヤーは画面の向こう側の世界へと深く引き込まれていった。
開発初期の裏話として有名なのが、容量との壮絶な闘いである。視覚的なエフェクトを最小限に抑える代わりに、メッセージウィンドウの表示速度や、会心の一撃が放たれた際の画面フラッシュ、効果音の鳴らし方に至るまで、心地よい手応えを与えるための泥臭い調整が繰り返された。音と光のコンビネーションだけでプレイヤーの心拍数を上げる演出技術は、まさに職人技の域に達している。