ゴングが鳴った瞬間、会場の空気が張り詰めた。誰もが長期戦を予想していたメインイベントは、誰も想像し得なかったわずか1ラウンドでの残酷な決着を迎えることとなる。
ゴングと同時に中央へ飛び出した両者。静かなプレッシャーの掛け合いから、王者が得意の左ミドルを放ったその瞬間だった。挑戦者が寸分の狂いもなく放ったカウンターの右ストレートが、完璧なタイミングで顎を打ち抜いた。崩れ落ちる王者。追撃のパウンドを打ち込むまでもなく、レフェリーが両手を広げて間に飛び込んだ。わずか94秒。静寂のあとに訪れた地鳴りのような歓声が、さいたまスーパーアリーナの屋根を揺らした。