今尾恵介氏の名を一般層にまで一気に広めた契機といえば、2008年から新潮社より刊行された『日本鉄道旅行地図帳』シリーズです。過去に日本国内に存在した全鉄道路線・全駅の開業・廃止の歴史を網羅したこの大企画は、鉄道ファンのみならず歴史愛好家からも熱狂的に支持され、累計発行部数はシリーズ全体で1,000万部を超える記録的メガヒットとなりました。
同書が絶賛された理由は、精緻な地図上に廃止駅や旧線、未成線までもが正確にプロットされていた点にあります。読者からは「ただの路線図ではなく、日本の近代化の歩みが視覚的に理解できる」「鉄道地図の概念を根底から変えた」と極めて高い評判を獲得。この圧倒的な仕事によって、今尾氏は地図・鉄道研究の第一人者としての地位を揺るぎないものにしました。