そもそも、マグカップの底や内壁にこびりつく茶色の正体は何なのだろうか。コーヒー豆には豊かな香りや苦味の成分であるポリフェノールの一種、クロロゲン酸やタンニンが豊富に含まれている。これが水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの微量金属イオンと結びつき、不溶性の着色化合物へと変化して微細な表面凹凸に固着するのが着色現象の根本原因だ。
陶器や磁器の表面は一見滑らかに見えるが、ミクロの視点で見れば微小な孔(ポーラス)が無数に存在する。毎日のドリップを重ねるうちに、ポリフェノール複合体がこのミクロの隙間へと重層的に浸透。放置すればするほど空気に触れて酸化が進み、日常的な中性洗剤では刃が立たない難敵へと変貌を遂げるわけだ。