巨大アリを語る上で、サイズ以上に人間を恐怖に陥れるのがその毒針の危険性です。その頂点に立つのが、中南米に生息するサシハリアリ(学名:Paraponera clavata / 通称パラポネラ)です。
英語圏では「バレット・アント(Bullet Ant=弾丸アリ)」と呼ばれ、「銃弾に撃たれたような激痛が丸一日(24時間)続く」という恐ろしい特徴を持っています。昆虫学者ジャスティン・シュミットが自身の体を張って作成した「シュミット刺痛指数(痛みの強さを1〜4でランク付けした指標)」において、パラポネラは唯一最高峰の「レベル4+」に認定されています。
刺された箇所は焼けつくような熱感を帯び、心臓の鼓動に合わせて激しい脈動痛が全身を襲います。患部周辺の筋肉は麻痺して震え、発汗や発熱、リンパ節の腫れが長時間治まりません。この強烈なペプチド毒(ポネラトキシン)は、スズメバチの刺傷被害を大きく上回る激痛トラウマを人間に植え付けます。アマゾンの先住民族サテレ・マウェ族の間では、数十匹のサシハリアリを編み込んだ草の手袋に手を入れ、10分間耐え抜くという過酷極まる「成人儀礼」が今なお受け継がれていることでも有名です。