常田兄弟のルーツを探ると、音楽が日常の空気に溶け込んでいた家庭環境に行き着く。ピアノ講師の母とジャズピアノを嗜む父のもと、兄・俊太郎はバイオリン、弟・大希はチェロを手に取り、幼少期からアンサンブルの呼吸を肌で覚えていった。
彼らの育った家には、バッハやストラヴィンスキーといったクラシック音楽の名盤から、ジャズ、昭和歌謡、同時代のJ-POPまでが境界なく鳴り響いていた。楽譜を緻密に読み解き構築するクラシックの手法と、肉体的なグルーヴで聴き手を揺さぶるポップミュージックの熱量。この相反する要素を同時に浴び続けた経験が、兄弟の共通言語となっている。
弟の奔放な音の構築に対し、兄がクラシカルな構築美と構築的なストリングスワークで応える――そのあうんの呼吸は、何千時間もの家庭内セッションによって鍛え上げられた、血の通った対話の賜物だ。