彼女の晩年に最も近い時期、交際相手として広く知られることとなったのが俳優の前山剛久である。舞台『王家の紋章』での共演を経て交際へと発展し、帝国劇場をはじめとする大舞台で主演を務める二人の関係は、当初は未来を見据えた真剣なものと見られていた。
だが、その関係は決して平坦ではなかった。名門・東宝が手掛けるミュージカルの金字塔『マイ・フェア・レディ』の主演という計り知れない重圧を背負う中で、将来の約束や男女関係を巡るすれ違いが二人を追いつめていく。のちに文藝春秋などの報道によって明かされた音声データや私的なやり取りの記録は、彼女が抱えていた孤独の深さと、最後まで愛を信じようともがいていた切実な心情を生々しく浮き彫りにし、世間に大きな衝撃を与えた。