春から秋にかけて沿岸を賑わすしらすの正体は、主にカタクチイワシの仔稚魚である。深い大陸棚と豊かな黒潮が交錯する相模湾、そして日本一の深さを誇る駿河湾。この二大漁場は、それぞれ異なる潮流とプランクトンに育まれ、特有の身質としなやかな弾力をもたらす。
沖合で網を引く船団と、陸で待機する仲買人との阿吽の呼吸。過酷な自然環境と向き合いながら、鮮度保持技術を日々磨き続ける湘南漁業協同組合の漁師たちの手仕事こそが、日本の水産業の誇りそのものだ。海況を読み、網を引く時間を秒単位で見極める職人技があるからこそ、私たちは雑味のない純粋な海の雫を口に運ぶことができる。