日本のスイーツ・飲料文化史において、同一の素材が数十年間にわたり3度も国民的ブームを巻き起こした例は他にない。なぜタピオカだけが、これほどまでに日本人を惹きつけてやまないのか。
第1次ブームは1992年前後。バブル崩壊直後の日本に上陸したエスニック料理ブームの一環として、ココナッツミルクに浮かぶ小粒で半透明の白いタピオカが脚光を浴びた。中華料理のデザートという位置づけであり、スプーンで食べるのが当たり前の時代だった。
続いて2008年前後に訪れた第2次ブーム。ここで現在お馴染みの「大粒のブラックタピオカ」と専用ストローが登場する。「Q感」と呼ばれる台湾特有のもちもち食感が認知され始め、テイクアウト専門スタンドが都市部を中心に点在するようになった。
そして決定打となったのが、2018年から2019年にかけての第3次ブーム、いわゆる「平成・令和タピオカブーム」である。台湾観光局による積極的なインバウンド・アウトバウンド観光誘致プロモーションが功を奏し、台湾カルチャーそのものへの親近感が日本国内で最高潮に達していた。そこへ本場台湾の有力ティーブランドが相次いで参入。単なるスイーツではなく、自分好みにカスタマイズできる「日常の贅沢飲料」へと昇華したことが、かつてない社会現象を生み出した。