SNSやネット掲示板、Q&Aサイトを検証すると、「お風呂の椅子を硬いタワシや研磨スポンジで力いっぱい擦ったら、一時は綺麗になったものの、数週間後に前より酷い黒ずみが発生した」という悲鳴が数多く寄せられています。筆者が住宅メンテナンスの技術者に取材した際も、一般家庭の風呂椅子の約7割に「不適切な物理研磨による微細キズ」が確認されたといいます。
ポリプロピレンやアクリルで作られた風呂椅子は、硬度としてはそれほど高くありません。研磨剤入りのクレンザーや硬質ナイロンブラシでゴシゴシ擦ると、目に見えない無数のヘアライン状の溝が彫られます。その溝の中に皮脂や石鹸のカスが入り込み、湿気が滞留することで、通常よりも速いスピードで黒カビが定着してしまうのです。
また、「お風呂用洗剤を吹きかけて5分置いて流したけれど全く変わらない」という声も目立ちます。市販の中性洗剤の浸透力は、数ヶ月かけて石化した水垢や何層も重なった石鹸カスを数分で崩壊させるようには設計されていません。「擦る力」を上げるのではなく、「作用させる時間(浸透・放置時間)」を確保することこそが、プラスチック素材を傷めずに美観を保つ唯一の解です。