二階堂ふみという俳優の凄みは、その類まれなキャリアの軌跡にも表れている。10代にしてヴェネツィア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した名作『ヒミズ』での鮮烈な演技は、今なお日本映画史に深く刻まれている。泥にまみれ、感情を剥き出しにする少女の姿に、世界中の映画人が熱狂した。
一方で、興行収入を塗り替えた大ヒット作『翔んで埼玉』では、規格外のコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮。美男子の生徒会長というエキセントリックな役柄を完璧な説得力で演じ切った。シリアスからコミカルまで、役柄ごとに全く異なる輪郭を見せる変幻自在の表現力。素顔がどれほど無垢であっても、ひとたび役を纏えばその人物の魂を宿してしまう底知れなさが彼女にはある。