1990年代初頭の日本映画界は、バブル崩壊の余波を受けながらも、インディペンデント映画がかつてない活況を呈していた時代だった。シネマライズやテアトル新宿といったミニシアターには連日長蛇の列ができ、観客は既存の商業映画にはない刺激と真実を貪欲に求めていた。
その熱狂のど真ん中に、彼女はいた。媚びのない冷ややかな眼差し、脆さと凶暴さが同居した佇まい。スクリーンのこちら側にまで伝わってくる剥き出しの生々しさは、観る者の神経を直接逆なでするような引力を持っていた。単なる美醜の基準を超越した表現力に、当時の映画青年たちは息を呑み、熱烈な信奉者となっていったのである。