ネット検索で頻出する「カナヲ 両目失明」「カナヲ 視力 回復」という2大言説について、客観的証拠に基づき誤解を是正します。
まず「両目全盲説」が広まった主たる要因は、第202話におけるカナヲのモノローグにあります。鬼化した炭治郎の触手をかいくぐりながら薬を注射する刹那、彼女は心の中で「姉さん 私の目を片方残してくれたのはこの為だったんだね」と呟きます。このセリフのインパクトがあまりに強烈だったため、「右目を童磨戦で失い、残る左目を炭治郎のために使い切って両目を完全に失明した」と短絡的に記憶した読者が少なくありませんでした。
しかし、第204話において蝶屋敷の庭に立つカナヲは、左目を細めながら咲き誇る桜の樹を見つめています。また、炭治郎と視線を合わせ、彼の微笑みに対して穏やかな表情を返しています。医学的見地からも、網膜毛細血管の破裂による視力障害は、発動時間の長さや破綻部位によって重症度が左右されます。童磨戦では極限まで技を維持し続けたため右目は不可逆の失明に至りましたが、炭治郎戦では薬の注入直後に吹き飛ばされ、技の行使が一瞬で断ち切られました。このコンマ数秒の差異が、左目に最低限の視界を残す防波堤となったのです。
一方で「現代医療や鬼の力で視力が完治した」という推測も明確な誤りです。大正時代当時の眼科医療水準において、一度壊死した視神経や網膜血管の再生は不可能です。カナヲの視力障害は生涯にわたる後遺症として残存しました。