三人組の歴史を紐解くと、そこにはコンビ以上の葛藤と、ドラマチックな人間ドラマが存在します。2人で始める漫才と違い、トリオの結成には「前身グループの解散」や「余剰人員の合流」という生々しい舞台裏がつきまといます。
代表例が東京03です。元々は飯塚悟志と豊本明長によるコンビ「アルファルファ」として活動していましたが、実力はありながらも決定打に欠け、伸び悩んでいました。そこに同じ事務所で「プラスドライバー」を解散し、極度の人間不信と借金を抱えて孤立していた角田晃広を飯塚が口説き落としたのが結成秘話です。自著や特別番組で飯塚は「角田のあの叫び声と情けなさを手に入れた瞬間、俺たちのコントのピースが完全に揃った」と回顧しています。互いの弱点を補うために設計された合流劇こそが、20年以上色褪せない強固な結束の原点でした。
一方で、三人組における「脱退」や「休養」はグループの存亡を揺るがす深刻な危機を招きます。日本のお笑い史における最大の変遷を経験したのがダチョウ倶楽部です。もともとは劇団テアトルエコーの出身者らで結成され、初期には電撃ネットワークのフロントマンとなる南部寅四郎(南部虎弾)が初代リーダーとして在籍していました。しかし、「危険で過激なパフォーマンスを追求したい南部」と「お茶の間向けのリアクション芸・テレビバラエティを目指したい肥後・寺門・上島」との間で笑いの方向性が完全に決裂。南部が脱退したことで、肥後を新リーダーとする3人体制が確立し、国民的ギャグ(「どうぞどうぞ」「聞いてないよォ」)が生まれました。そして2026年の上島竜兵さんとの悲しい別れを経てもなお、肥後と寺門は「上島は今もメンバーであり続ける」と公言し、2人で3人分の魂を背負って舞台に立ち続けています。
また、近年ファンを最もやきもきさせたのがジェラードン海野裕二の休養と復帰です。YouTubeコントが爆発的ヒットを記録し、ブレイクの絶頂にあった2026年末、海野が体調不良により無期限休養に入りました。ツッコミ不在の窮地に立たされたアタック西本とかみちぃは、歩みを止めるどころか2人で「如月マロン」シリーズや「角刈りガール」などの濃厚なキャラクターコントを量産。YouTube登録者数を倍増させ、劇場の最前線で「海野の帰る場所」を守り抜きました。報道各社の取材に対し、舞台復帰を果たした海野を迎えた2人の姿は、単なるビジネスパートナーを超えた友情として大きな感動を呼びました。