ソチ五輪で世界に衝撃を与えたもう一人の存在が、団体戦で圧倒的な輝きを放ったユリア・リプニツカヤだった。彼女の驚異的な柔軟性と、キャンドルスピンは世界を魅了した。しかし、彼女のピークはあまりにも短かった。
ソチを境に、女子フィギュア界は「若年齢化」と「高難度ジャンプ」のインフレへと突き進むことになる。過酷なトレーニングと体重制限。10代半ばで世界の頂点に立ち、20歳を迎える前に引退していくロシア人スケーターたちの系譜は、まさにこのソチから本格化したのだ。使い捨てられる才能たち。その光と影は、現在のフィギュア界が直面する最も深刻な倫理的課題へと繋がっている。