夏場のレジャー後や屋外活動のシーズンになると、「日焼けした肌の一部だけが白く水玉模様のように抜けてきた」という相談が急増します。この日焼け後の白い斑点の理由には、2つの明確な生物学的トリガーが存在します。
第一の要因が、癜風菌による色素脱失です。癜風菌とは皮膚の常在菌であるマラセチア(酵母菌)の一種であり、高温多湿な環境下で皮脂をエサにして過剰増殖します。この菌が分泌するアゼライン酸などの代謝副産物が、メラニン生合成の鍵となる酵素「チロシナーゼ」の働きを阻害してしまうのです。その結果、癜風菌が繁殖した部分だけメラニンが作られなくなり、周囲が日焼けで小麦色に濃くなるにつれて、取り残された部分が鮮明な白い斑点として浮き彫りになります。
第二の要因が、学童期までの男児・女児に圧倒的に多く見られる子供の顔の白い斑点、すなわち「はたけ(単純性粃糠疹)」です。紫外線を浴びた後の頬に、コイン大の白くカサついた斑点が現れるのが典型パターンです。はたけの本態は、乾燥や紫外線ダメージによって生じた軽微な湿疹(皮膚炎)が治癒した後に残る「炎症後色素脱失」です。子供の表皮は成人の半分程度の厚みしかなく、皮脂分泌も不安定なため、バリア機能が低下して容易に炎症を起こします。この状態の肌が強い紫外線を浴びると、健常部分だけが黒くなり、炎症を起こしていた部分との明暗差が際立ちます。抗真菌薬が必要な癜風とは異なり、はたけの改善には徹底した保湿ケアとサンスクリーンによる紫外線防御が唯一かつ最短の治療法となります。