ペーパーレス化が進んだ現代社会において、皮肉にも手書き文字の存在感はかつてないほど際立っている。契約書のサインや取引先へ送る御礼状の添え書きなど、手書きが介在する場面は重要度の高い局面ばかりだ。粗雑な文字は「雑な仕事をする人物」という無言のバイアスを生みかねず、反対に均整の取れた文字は知的で几帳面な印象を瞬時に植え付ける。
いま、スキルアップの一環として文字の改善に取り組む「大人の学び直し」が急速に広がっている。単なる趣味の範疇を超え、自己ブランディングや対人コミュニケーションの武器として文字を見つめ直す動きだ。日本の文房具産業がボールペンの重心バランスやインクの粘度研究を進化させ、大人の書き心地をサポートする高機能ペンを次々と市場に投入していることも、このトレンドを力強く後押ししている。