イルカのビジュアルを語る上で、クリスチャン・ラッセンが90年代の視覚文化に遺した巨大な足跡を無視することはできない。夕暮れのグラデーションに染まる水平線、天空に浮かぶ満月、そして宙を跳ねるイルカたち。あの独特のロマンティシズムは、形を変えて現代のデジタルイラストレーションへと受け継がれている。
現在、Pinterestをはじめとする画像共有プラットフォームでは、ネオンカラーやパステル調のドリーミーな海洋アートが再び若い世代の支持を集めている。ノスタルジックでありながら、どこか未来的。現実には存在しない幻想的な海の世界を手のひらに収めることは、デジタルネイティブたちにとって最も手軽なファンタジーへの逃避行なのだ。