調理法を巡って長年議論が分かれるのが「お湯から茹でるか、水から茹でるか」という加熱アプローチの違いです。どちらが正解というわけではなく、目的と仕上がりの優先順位によって明確な使い分けが存在します。
まず、もやしの栄養を逃さない茹で方や極限のシャキシャキ感を追求する場合は「たっぷりのお湯から一気に短時間で茹でる」のが基本です。沸騰した湯に対してもやしを投入することで、ビタミンCやカリウムなどの水溶性ビタミンが湯中に溶け出す時間を最小限に抑えられます。この際、湯に対して1%程度の食塩を加えることで、もやしの浸透圧を保ち、水分流出を防ぐ効果が高まります。
一方で、もやしを水から茹でる理由には「均一な加熱」と「独特の青臭さの除去」という明確なメリットがあります。冷たい水から徐々に温度を上げていく過程(50℃〜60℃付近)でペクチンが徐々に強化され、もやし全体が均一に引き締まります。また、もやし特有の豆臭さ(青臭さ)の原因物質であるヘキサナール等の揮発性成分は、低温からじっくり加熱することで揮発しやすくなります。もやしの臭み取りを重視したい場合や、大量に茹でる際に火の通りムラを防ぎたい場合は、水に少量のお酢(水1リットルに対して大さじ1程度)を加えて水から加熱する手法が極めて有効です。