数字が示す現実はあまりにも圧倒的だ。筑波大学附属駒場中学校・高等学校における卒業生の約半数が毎年、東京大学へと現役あるいは浪人を経て進学していく。中学受験における偏差値は長年にわたり全国最上位を独走し、限られた定員枠をめぐって首都圏最高峰の頭脳がしのぎを削る。しかし、校内に入って驚かされるのは「東大対策」と銘打たれた補習や授業がほぼ皆無であるという事実だ。
宿題で生徒を縛ることもなければ、受験用の演習プリントを無理やり解かせることもない。学校側が提供するのは、知的な刺激に満ちたハイレベルな対話と、徹底的に生徒の自主性を重んじる環境だけである。国内屈指の国立男子中高一貫校として、自律した知性が勝手に学び合い、互いの才能を高め合う。ライバルであり無二の友でもある同級生たちと日常的に知のラリーを繰り返すこと自体が、最高峰の受験対策として機能している。
自由を履き違えて自堕落に陥る生徒はほとんどいない。自ら問いを立て、調べ、解決する習慣が中高6年間で骨の髄まで叩き込まれるため、大学受験というハードルすら彼らにとっては自らの知的好奇心を証明するための通過点に過ぎない。この自走力こそが、予備校主導の勉強法では決して追いつけない「筑駒マジック」の核心といえる。