アース線の接続においては、「どこでも金属部分に繋げば電気が逃げるだろう」という素人判断による危険な施工が後を絶ちません。以下の接続箇所は、法令(電気設備技術基準)で明確に禁止されているだけでなく、大事故や火災を誘発する重大な違反行為です。
1. ガス管への接続(爆発事故の危険性)
絶対にアース線を巻き付けてはならない筆頭がガス管です。微弱な漏電火花であっても、ガス漏れ時に引火して破滅的なガス爆発を引き起こす恐れがあります。
2. 水道管への接続(感電範囲の拡大・接触不良)
「昔は水道管に繋いでいた」という古い話を信じるのは禁物です。現在の宅内配管は絶縁性の高い塩化ビニル管や架橋ポリエチレン管が多用されており、電気を地面に逃がす役割を全く果たしません。それどころか、管内の水を通じて家中の蛇口金具に電圧が伝播し、洗面台や浴室で手を洗った家族が感電する事故を引き起こすリスクがあります。
3. 電話専用アース・避雷針への接続(逆流サージの脅威)
電話線のアース端子や建物の避雷針設備に接続するのも極めて危険です。特に落雷時、避雷針を伝って数万ボルトの雷サージが洗濯機内部に逆流し、家電の完全破壊や家屋の火災を招く恐れがあります。
4. 「分電盤に漏電ブレーカーがあるから大丈夫」という思い込みの落とし穴
住宅の分電盤に漏電ブレーカーが付いているからアースは不要という俗説も誤りです。漏電ブレーカーは、回路全体で規定値以上の漏れが発生した瞬間に電源を落とす「最後の防壁」に過ぎません。アース線が繋がれていなければ、漏電した電流は人間が触れて感電して初めて回路が遮断されることになり、検知される一瞬のショックでさえ人体には致命的となり得ます。アース線があるからこそ、人間が触れる前にブレーカーを落とすことが可能になります。