近年、過疎高齢化が進む中山間地域において、風景写真を目的とした観光客の殺到が農家の生活空間を脅かす「ローカル・オーバーツーリズム」が深刻な社会課題となっています。儀明の棚田においても、農作業用軽トラックの通行を遮る路上駐停車や、立ち入り禁止のあぜ道への踏み込みといったマナー違反が度々報告されてきました。
風景を愛でる訪問者と、その風景を命がけで維持・管理している農業従事者との間には、本来厳格な「心理的・物理的バウンダリー(境界線)」が存在しなければなりません。素晴らしい景色を消費するだけの存在に甘んじるのか、それとも敬意を持ってその営みを静かに見守る観察者になれるのか。訪問者自身の倫理観が厳しく問われています。
儀明の棚田訪問に「向いている人」の条件
日の出前の未明から行動できる徹底した時間管理能力を持ち、駐車スペースが空いていなければ執着せずに引き返す決断力がある人。そして、農道やあぜ道に一歩も足を踏み入れず、展望スペースから望遠レンズ等を用いて静かに風景を切り取れる成熟したマナーを持つ旅行者には、極上の瞬間が約束されます。
儀明の棚田訪問を「慎重に再検討すべき人」の条件
日中の行楽気分でドライブのついでに立ち寄ろうと考えている方や、大型車・キャンピングカーでの移動を計画している方は、トラブルの原因になりやすいため訪問を慎重に検討すべきです。また、現地には自動販売機や売店、専用トイレが設置されていません。小さな子ども連れのファミリー層や、充実した観光インフラを期待する方は、駐車場や歩道が整備された星峠の棚田展望台を優先することをおすすめします。