地震学者たちが「地球の鼓動(Earth's Microseism)」と呼ぶ現象の探求は、1961年にコロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測所の地質学者ジャック・オリバー(Jack Oliver)の研究から始まりました。当時の地震計の記録紙に、震源不明の規則的なパルスが約26秒ごとに記録されていることを発見したのが発端です。
この信号は、巨大地震のような破壊的なエネルギーを持つものではなく、人間の体感には一切引っかからない微小な地震波(微動)です。しかし、北米、欧州、アジア、さらには南極大陸に至るまで、地球上のあらゆる観測所で同時に検知されるという特異な性質を持っていました。
長年にわたる三角測量と高精度データ解析の結果、この信号の発信源は西アフリカ沖のギニア湾・ボニー湾(サントメ・プリンシペ周辺海域)に位置していることが突き止められました。大西洋の広大な海域で発生するエネルギーが、なぜ特定の一点から世界中に向けて規則正しく発信されるのか、研究者たちの間で熱烈な議論が交わされてきました。