危険物取扱者試験を実施する消防試験研究センター公式発表の統計資料を精査すると、乙種第4類の合格率は長期にわたり30%台前半から40%弱で推移しています。乙種第1類、第2類、第3類、第5類、第6類の合格率が軒並み60〜70%台を記録している状況と照らし合わせると、乙4の数値の低さは際立っています。
この数値を見て「危険物乙4難易度は電験三種や宅建並みに跳ね上がったのか」と錯覚する人が少なくありません。しかし、現場の受験指導者や資格アナリストの分析は異なります。危険物乙4合格率が低い理由は、試験問題そのものの学術的難しさよりも、受験者層の極端な不均一性と準備不足という社会構造的な要因に起因しています。
乙4種は引火性液体(ガソリン、灯油、軽油、重油など)を扱えるため、企業の業務命令で取得を義務付けられるケースが圧倒的多数を占めます。運送業、危険物保安監督者を置く工場、ガソリンスタンドのアルバイト、工業高校のカリキュラムとしての一斉受験など、「本人の強い学習意欲がないまま会場へ足を運ぶ層」が全体の半数近くを占めているのが実情です。テキストを1ページも開かずに記念受験同然で受ける層が一定割合存在することが、見かけ上の合格率を大幅に押し下げる主因となっています。