多くの人が陥る最大の誤解が、薬効に関する認識不足だ。抗生物質(抗菌薬)は、細菌の細胞壁を破壊したり、蛋白質の合成を阻害したりすることで細菌を死滅させる、あるいは増殖を抑える薬剤である。しかし、ウイルスには細胞壁もなければ、自前のタンパク質合成器官も存在しない。
構造そのものが全く異なる相手に抗菌薬を投与することは、ガソリン車に電気を流して動かそうとするようなものだ。ウイルス感染症である一般的な風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスに対して抗菌薬を服用しても、ウイルスを退治する効果はゼロである。むしろ体内の善玉菌を殺してしまい、腸内環境を荒らす結果に終わりかねない。