実際に児童相談所や自治体窓口で手帳申請を試みた保護者や、成人後に自力で制度を調べた当事者の手記や告白には、制度の複雑さと葛藤が生々しく記録されています。
小学校低学年の自閉スペクトラム症児を育てる母親が残した手記には、次のような切痛な声が綴られています。
「児童相談所のテストで、息子はパズルや図形の問題をすらすら解いてしまい、IQは88でした。しかし、日常では聴覚過敏で耳を塞いでパニックを起こし、集団指示が全く通らず、着替えすら一人ではできません。判定員の方からは『お母さんの大変さは痛いほど伝わりますが、この知能指数では愛の手帳は出せません』と告げられました。知能検査の点数が高いことが、これほど絶望に感じられた日はありませんでした」(都内・40代保護者の手記より)
一方で、大人の発達障害の手帳取得経緯に目を向けると、成人になってから初めて療育手帳を申請しようとして門前払いに遭うケースが頻発しています。大人の場合、療育手帳の取得要件として「18歳未満(または自治体により20歳未満)までに知的障害が生じていたことの証明」が求められるためです。幼少期の母子手帳、当時の通知表、小児期の知能検査結果といった客観的証拠が手元にない場合、過去の遡及証明ができず申請すら受理されないという構造的な壁が存在します。
SNSや当事者コミュニティの検証でも、「知的な遅れがないのに療育手帳にしがみついて年単位で時間を浪費するより、精神科の主治医に相談して精神障害者保健福祉手帳を速やかに取得したほうが、合理的配慮や税制控除を素早く得られた」という現実的な体験談が多数を占めています。