この静かなブームの火付け役となったのは、間違いなく近年の映像作品群だ。社会現象を巻き起こしたヒューマンドラマ『silent』で、川口春奈と目黒蓮が演じた切なくも温かい手話のやり取りは、視聴者の胸を強く打った。放送終了後もTVerやNetflixなどの配信プラットフォームで繰り返し視聴され、作品への熱気は冷める気配がない。
さらに、京都アニメーションが手掛けた映画『聲の形』の根強い人気や、草彅剛が主演を務め大きな反響を呼んだ『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』など、ろう者や手話通訳士のリアルな葛藤を描いた骨太な作品が続々と人々の心に届いている。画面越しに映し出される指先の軌跡を見て、「自分もあの言葉を紡いでみたい」と独学を始める人が急増した。
かつては知る人ぞ知る存在だった指の表現が、エンターテインメントの枠を飛び越え、日常のコミュニケーションツールとして再発見されているのだ。