静寂を破る轟音とともに、巨大な鉄の塊が宙を浮き、バラスト(砕石)を跳ね上げながら路盤をえぐる――貨物列車の脱線現場に居合わせた関係者が口を揃えるのは、その圧倒的な破壊力です。事故発生直後、現場周辺では非常停止警報が鳴り響き、牽引する電気機関車やディーゼル機関車の後方に連なるコンテナ貨車が次々と蛇行、脱線して傾斜しました。
事故直後の初動調査において、運輸安全委員会の事故調査官が直面したのは、レールが粉々に破断し、枕木が引き裂かれた凄惨な光景でした。現場周辺の踏切や軌道部には、脱線した車輪がレールを乗り越えた生々しいフランジ痕(車輪の縁が刻んだ溝)が数百メートルにわたって残されており、時速数十キロで走行していた数千トン規模の列車にかかった強烈な慣性エネルギーを物語っていました。
現場で何が起きていたのかを時系列で辿ると、走行中に突然軌道の支持力が失われ、特定車両の台車が軌道から逸脱、後続の貨車が次々と押し出される形で被害が拡大した経緯が浮き彫りになります。運転士は即座に非常ブレーキを動作させたものの、編成重量の大きさと制動距離の長さから即座に停止することは叶わず、レールや信号設備、架線柱などの地上設備を広範囲にわたってなぎ倒す事態に至りました。