愛之助の名を国民的なものへと押し上げたのは、歌舞伎の舞台だけに留まらない。TBSテレビのメガヒットドラマ『半沢直樹』で見せた黒崎駿一役の怪演は、視聴者に鮮烈なインパクトを焼き付けた。緩急自在の台詞回しと研ぎ澄まされた表情筋の動きは、歌舞伎の女形修行で培った身体操作の賜物にほかならない。
さらにNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で見せた切なくも気品ある武将の佇まいや、Netflixをはじめとする世界的配信プラットフォームへの出演、本格的な時代劇への挑戦など、活動の場は留まる所を知らない。映像メディアで知名度を高め、その観客を劇場へと呼び戻す。古典芸能とマスカルチャーを縦横無尽に行き来する独自のポジションを確立した。