「朝のリレー」の深層を理解するには、詩人の原点であるデビュー作『二十億光年の孤独』へ視線を向ける必要がある。若き日の谷川俊太郎が火星人の存在を想像し、広大な宇宙と己の存在を対比させたあの宇宙的視座。それこそが、のちに地球全体を俯瞰する「朝のリレー」の眼差しへと結実した。
彼の作品世界の広がりを語るうえで、音楽界とのコラボレーションも見逃せない。作曲家・武満徹との深い交流や協働をはじめ、言葉の持つ旋律とリズムを極限まで研ぎ澄ますアプローチは、彼の全生涯の仕事に一貫している。単なる意味の伝達手段にとどまらず、心に直接響く音響として日本語を捉える感性。それが日本の現代詩に新鮮な息吹を吹き込み、出版業界全体においても詩表現の領域を大きく押し広げた。