気候変動をめぐる言説空間は、ハリウッドや大手配信プラットフォームによって巨大なナラティブへと仕立て上げられてきた。2000年代、アル・ゴア元米副大統領が主演した『不都合な真実』は世界に衝撃を与え、環境ドキュメンタリーというジャンルを確立した。その後、オスカー俳優のレオナルド・ディカプリオが製作・出演した『地球が壊れる前に』など、セレブリティを旗手とした作品群が人々の危機意識を強力に牽引してきた。
現在、その戦場はNetflixやApple TV+といったストリーミング巨頭へと完全に移行している。彗星衝突を環境危機のメタファーとして描いたNetflixのヒット作『ドント・ルック・アップ』に代表される気候フィクション(Cli-Fi)は、何億人もの視聴者にディストピアの恐怖を直接植え付けた。スクリーン越しに増幅された終末観が、ストリートに立つ若者たちの過激な行動を精神的に後押しする──フィクションと現実の政治行動が相互に燃料を注ぎ合う構造が定着している。